但馬牛ってどんな牛?
黒毛和種は日本各地で育てられている和牛ですが、多くの場合は海外産の牛の血が混ざっており、昔から日本国内にいた純血の牛ではありません。
各地にいた黒牛に、海外の牛やいろんな地域の牛をかけ合わせることで、肉質がよくて大きく育つ黒毛和種にしていきました。
ですが、兵庫県の北部にあった但馬地方(現在の豊岡市や美方郡)では、域外の牛との交配を一切せずに牛を育て続けてきたんです。
そのため、但馬地方の牛は、海外産の牛や他地域の牛の血は混ざっていない純血を守り続け、今では「但馬牛」と呼ばれるようになりました。
兵庫県内ではどの農家でも但馬地方からメス牛を仕入れ、オス牛の精子も但馬産を使うようになったため、兵庫県内で生まれた牛はすべて純血の但馬牛と言えます。
(但馬牛は和牛の種類で言うと、黒毛和種になります。)
但馬牛の肉はサシがきれいで最高に旨い
但馬牛の肉は最高に旨いと言われています。
最大の特徴はサシの入りやすさで、霜降り肉になりやすいんです。
サシが入りやすいだけなら他の牛にもある特徴ですが、但馬牛ではきめの細かいサシが入りやすい。
但馬牛の肉の断面には小さな脂肪の粒が一面に散在しています。そのおかげで、熱を加えたときに舌の上でとろけるような旨さが広がるんです。
この但馬牛の中でも、ずば抜けていいお肉になると評価された牛が過去にいました。「田尻号(たじりごう)」です。
「田尻号」は、1939年に小代村(現在の美方町)に田尻松蔵という農家のもとに生まれました。
全国各地でおいしい黒毛和種を育てるため、「田尻号」と地元の牛が配合されたんです。
その結果、日本にいる黒毛和種を生む雌牛のほとんどは「田尻号」の子孫なんですよ。
日本三大和牛はすべて但馬牛
「松阪牛」、「神戸ビーフ」、「近江牛」の3つのブランド牛は、その味のすばらしさから日本三大和牛と呼ばれています。
実は、これら3つのブランド牛はすべて但馬牛を育てたブランド牛なんです。
(厳密には下記のとおり。)
(近江牛は、但馬牛以外を育てた牛も含む。)
(松阪牛は、「特選松阪牛」のみが必ず但馬牛を育てた牛。)
(神戸ビーフは、必ず但馬牛を育てた牛。)
牛を育てる農家は、繁殖農家(はんしょくのうか)と肥育農家(ひいくのうか)に分かれています。
兵庫県内の繁殖農家から但馬牛を買い取り、各地の繁殖農家が大きく育て上げた牛が「松阪牛」、「神戸ビーフ」、「近江牛」として出荷されるんです。
つまり、日本三大和牛のちがいは血統ではなくて、育て方によるところが大きいんです。
「育て方のちがい=農家の育て方のちがい」です。
各地の農家のこだわりが、一つの但馬牛から日本三大和牛を生み出す原動力になったんですよ。
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