和牛は4種類だけ
農林水産省が2007年に定めたガイドラインによって、和牛と呼ぶことができる牛は「国内で生まれ育てられた、下記の5種類の牛」だけになります。
「和牛=黒毛和種」と思われがちですが、和牛には4つも種類(とその交雑種)があるんです。
また、「黒牛」なんて表示されてる肉もよくありますが、和牛ではない場合があります。黒毛和種とホルスタインを掛け合わせた牛(F1)も見た目が黒いので、「黒牛」なんて呼ばれてることも。
黒毛和種の和牛なら必ず「黒毛和種」と明記されてるので、よく見れば勘違いすることはありませんよ。
和牛の種類について詳しく知りたい方は、「牛の種類」のカテゴリーをご覧ください。
オーストラリア産の和牛ってなに!?
「オーストラリア産の和牛」なんて聞いたことがありますか?最近では、海外で黒毛和種が育てられることもあるんです。
ただ、国内で「和牛」と呼ばれるためには、「黒毛和種」であることに加えて「国内生まれ・国内育ち」が条件です。
そのため、オーストラリアで育てられた黒毛和種が日本国内で「和牛」として販売されることはありえません。
でも、海外では「和牛」と呼ばれる条件は定まっていない。そのため、オーストラリアで育てられた黒毛和種が、日本以外の国では「和牛」として提供されることもあるんです。
日本の和牛は「黒毛和種」という品種だけがすごいのではなく、丁寧な育て方でおいしくなっています。
日本の和牛が海外でオースラリア産の黒毛和種と闘っていくには、牛の種類だけでなく、育て方までしっかりアピールしていく必要があるのかもしれません。
和牛と国産牛のちがい
簡単に言うと、次のとおりです。
- 国産牛→国内で長く育てられた牛
- 和牛→国内で育てられた4種類(+和牛間交雑種)の牛
「国産牛」はどこで育てられたかを表し、「和牛」は限られた種類の牛であることを表してます。
牛には和牛の4種類の他にもたくさんの種類があるので、国産牛にはいろんな種類の牛が含まれることになるんですよ。
和牛の格付け
牛肉の格付けとして、「A5ランク」なんて言葉を使ったりします。
この牛肉の格付けは「日本食肉格付協会」によって行われています。牛肉を客観的に評価することで、買う人も売る人も金額を決めやすくなることを目的にしてるんです。
歩留等級がアルファベットで、肉質等級が数字で表されます。例えば、「A5ランク」の肉は「歩留等級がA」で、「肉質等級が5」になります。
肉質等級は4つの項目で決まります。
これら5つの項目もそれぞれ1〜5までで評価して、最も低かった項目の等級が肉質等級になるんです。
(上記3つの画像は公益社団法人日本食肉格付協会のホームページから引用)
牛肉の格付け(歩留等級と肉質等級)は、味に関する基準じゃありません。
肉質等級の脂肪交雑(霜降り具合)は、数値がいいほどとろけるような食感にはなります。でも、「脂肪の味」に関する基準ではないので、味の評価は何もしていないんです。
お店やテレビでは、「A5ランクの最高級肉なのでおいしい」なんて言いますが、牛肉の等級は「牛肉のおいしさ」を決めるものじゃありません。
赤身肉であればサシ(霜降り)が少ないので、脂肪交雑が少なく、必ず「A5ランク」にはならない。
おいしさの基準は人によってちがうので、食べる肉を選ぶ際には、牛肉の格付けにとらわれすぎないようにしましょう。
ブランド牛(銘柄牛)とは
ブランド牛(銘柄牛)は日本全国で300を超える数があります。
ブランド牛(銘柄牛)とは、それぞれのブランド牛を推進する団体によって定められた定義(牛の種類や育てる地域、育て方、肉の等級など)を満たした肉のことです。
「どこまで、どんな条件を定めているか」は、ブランド牛によって全然ちがいます。ただ、育て方が決められてる場合でも、ゼロから百まですべての育て方が決まっているわけじゃありません。
そのため、同じブランド牛でも味や価格に差があるんですよ。
日本三大和牛は正式な定義があるわけじゃありませんが、上記の3つのブランド牛を意味しているます。
ただなぜか、日本三大和牛の3番目だけは、「近江牛」のときもあれば「米沢牛」のときもあるんです。
いろいろなブランド牛を調べてみたい方は、「ブランド牛一覧」のカテゴリーをご覧ください。
和牛が高い理由
和牛が高い理由は、おいしく牛肉にするために多くの手間や費用がかかってるからです。
育てる仔牛だってなんでもいいわけじゃありません。きめ細やかでおいしい牛肉なってくれるいい仔牛を選んで育てるんです。
ブランド牛によっては、エサだってオリーブを混ぜるなど、農家がこだわったもの与えてます。特選松阪牛の場合は、ビールをあげるのも有名です。
また、育てる期間もできるだけ長くします。沖縄県の「石垣島きたうち牧場プレミアムビーフ40」は40ヶ月も育てるんです。
長く育てた方が味が熟成して濃くなりますが、代わりにエサ代は多くなってしまいます。
おいしい牛肉なることをいちばんの目標として丁寧に育てるから、和牛は高くなってしまうんです。
でも、だからこそ、和牛は私たちにとって、とっておきのご馳走になるんですよ。
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